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連続講座「シベリア抑留は今どう記憶・記録されているのか」東京

大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター(東京)主催

連続講座「戦後70年に向けて――シベリア抑留は今どう記憶・記録されているのか」

コーディネーター:有光健(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員、シベリア抑留者支援・記録センター代表世話人)

協力・後援:シベリア抑留研究会、シベリア抑留者支援・記録センター

開講日:10月18日(土)、11月8日(土)、12月20日(土)、1月24日(土)

開講時間:午後2~5時

会場:大阪経済法科大学東京麻布台セミナーハウス

定員:30名

受講料:1回1000円

来年は「戦後70年」。敗戦後、60万人以上の日本軍捕虜がソ連・モンゴルに移送、抑留された、いわゆる「シベリア抑留」も70年を迎える。「シベリア抑留」の研究はソ連・ロシアの情報開示が遅れていたこと、スターリニズムと向き合う政治的な困難などから、1990年代初頭のペレストロイカの後も、長らく進捗がなかった。2010年の「シベリア特措法制定」を機に、また体験者の高齢化(平均年齢91歳)を受けて、記憶の継承、記録収集が喫緊の課題となっている。この間、記憶と記録の収集に当たってきた内外の関係者・研究者らが、「シベリア抑留」研究と記憶・記録の作業の現状と課題をわかりやすく講義する。


第1回:10月18日(土) 午後2~5時
日ロのシベリア抑留研究は今 ――記録を調査する研究者に聞く
講師:エレーナ・カタソノワ(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員、ロシア科学アカデミー東洋学研究所研究員)、加藤聖文(人間文化研究機構国文学研究資料館研究部助教)、小林昭菜(法政大学大学院政治学研究科博士課程)

《講義内容》
 旧ソ連時代からシベリア抑留研究に取り組み、日本人抑留者や研究者との交流も重ねてきたエレーナ・カタソノワさんからロシア側の研究の歩みと課題を聞く。日本側の研究の現状と課題については、日本史研究の側から加藤聖文さん、米ソの国際関係からもアプローチする小林昭菜さんが語り、全体的な課題を明らかにする。史料は、ロシア、米国、日本に多数存在するが、まだ知られていない資料や開示されていない重要文書も多い。

《講師プロフィール》
エレーナ・カタソノワ(ロシア科学アカデミー東洋学研究所研究員)
1950年生まれ。モスクワ大学で日本語文学専攻。ロシア科学アカデミー東洋学研究所で学び、1986年研究員に。全国抑留者補償協議会の活動も支援。ロシア国防省軍事史研究所歴史学博士。現在ロシア科学アカデミー東洋学研究所研究員、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員。邦訳著書:『シベリアに架ける橋』(橋本ゆう子訳、恒文社、1997年)、『関東軍兵士はなぜシベリアに抑留されたのか』(白井久也監訳、社会評論社、2003年)。

加藤聖文(かとう・きよふみ、人間文化研究機構国文学研究資料館研究部助教)
1966年愛知県生まれ。1991年早稲田大学社会科学部社会科学科卒業、証券会社勤務を経て、2001年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程史学専攻単位取得。専門は、日本近現代史・東アジア国際関係史・記録史料学。現在、人間文化研究機構国文学研究資料館研究部助教。著書:『満鉄全史--「国策会社」の全貌』(講談社選書メチエ、2006年)、『「大日本帝国」崩壊-東アジアの1945年』(中公新書、2009年)、ほか。

小林昭菜(こばやし・あきな、法政大学大学院政治学研究科博士課程)
1982年長野県生まれ。法政大学国際文化学部在学中の2002年にモスクワ大学に語学留学。その際に「シベリア抑留」に興味を持ち、卒論のテーマに。以降大学院においてロシア公文書史料から「シベリア抑留」を問う研究を続ける。現在、法政大学大学院政治学研究科政治学専攻博士後期課程。論文:「『シベリア抑留』研究の現状と課題―日露の先行研究から―」『異文化論文編』法政大学国際文化学部11号、ほか。


第2回:11月8日(土) 午後2~5時
元抑留者は今、何を思っているか ――体験者が記憶を語る
講師:松本茂雄(元抑留者)、猪熊得郎(元抑留者)

《講義内容》
 シベリア抑留の体験者は今年平均年齢91歳に達する。長く口を閉ざしてきた体験者たちも晩年になって、みじめな記憶も力づけられた思い出も率直に語り始めてきた。記憶を歴史に留め、教訓化してほしいと積極的に語るお二人を招き、当時の体験を聞き、現在の率直な思いを伺う。侵略戦争から東西冷戦の大きなうねりの中に投げ込まれ、敗戦・捕虜・スターリニズムを体験した当時の多感な若者たち。ご自身の中で整理のついていないことも多いという。

《講師プロフィール》
松本茂雄(まつもと・しげお、元抑留者)
1925(大正14)年福島市生まれ。早稲田高等学院卒業後、1945年2月、満州虎林の迫撃第13大隊に入隊。8月9日ソ連侵攻、戦闘・玉砕・「戦死」誤報・傷痍軍人に。武装解除後、延吉・クラスキーノを経てコムソモリスク第2収容所で3年の重労働。1948年8月、帰国。早稲田大学卒業後、東京トヨタ、リクルートに勤務。著書:『火焼山―極限状況における国家と人間の生き証人―』(文藝書房、1999年)。ユーラシア・ブックレットNo.178『コムソモリスク第二収容所』(富田武編著、東洋書店)に詳しい証言が収録されている。

猪熊得郎(いのくま・とくろう、元抑留者)
1928(昭和3)年東京生まれ。1944年4月、15歳で陸軍特別幹部候補生志願、陸軍航空通信学校入隊。航空通信兵として常陸飛行部隊で戦闘体験。1945年4月、関東軍・第2航空軍第22対空無線隊配属。満州・公主嶺で敗戦。アムール州シワキ第4収容所、沿海州クラスキーノで伐採、道路工事、農作業などに従事。1947年12月、帰国。戦場体験放映・保存の会、不戦兵士・市民の会などで活動、平和祈念展示資料館語り部。共著:『戦争の作られ方』(発行=ブリッジ・フォー・ピース)。


第3回:12月20日(土) 午後2~5時
映像はどこまでシベリア抑留を伝えたか ――映像で記憶を検証する
講師:小柳ちひろ(テムジン・ディレクター)、三浦重行(山形放送報道部長)、山内隆治(資料映像バンク)

《講義内容》
 戦後、シベリア抑留を取り上げた映像作品(映画・ドキュメンタリー)はそう多くないが、近年シベリア抑留検証の動きの中で、映像による記録と記憶も改めて見直され始めている。ドキュメンタリーの制作者や記録映像を収集する作業を続けている専門家から、作品や記録を検証しながら、これまでの歩みと今後の可能性などについて論じていただく。講師らが制作した貴重な映像作品も上映の予定。

《講師プロフィール》
小柳ちひろ(こやなぎ・ちひろ、テムジン・ディレクター)
2000年同志社大学卒業。番組制作会社テムジンで主に歴史ドキュメンタリーを制作。主な作品に「NHKスペシャル 引き裂かれた歳月 証言記録シベリア抑留」(2010年)、「シリーズ辛亥革命100年 第1回 孫文 革命を支えた日本人」(2011年)、「三つの名を生きた兵士たち 台湾先住民”高砂族”の20世紀」(2012年)ほか。

三浦重行(みうら・しげゆき、山形放送報道部長)
1963年山形市生まれ。85年山形放送入社。記者、ディレクター。報道部デスクを経て2012年4月から報道部長。主な作品に「貝になった子どもたち~自然保護劇は上演されなかった~」(ラジオ1989年)、NNNドキュメント「明倫中で何が起こったのか~児玉有平君の死をめぐって~」(1993年)、「冷戦俘虜記~シベリア抑留旧日本軍朝鮮人兵士の戦後~」(2000年)、「誉れ高き捕虜として~「シベリア抑留」が遺しゆくもの~」(2011年)。

山内隆治(やまうち・りゅうじ、資料映像バンク)
1961年大阪府生まれ。1996年より日本映画新社で映像ライブラリ業務に従事。同社解散後は、(社)記録映画保存センターの立ち上げに参画。国内の記録映画フィルムの保存活動に従事。現在は、東京大学で映像アーカイブの研究員をしながら(株)資料映像バンクを経営。2012年調査で訪れた米国立公文書館で1952年公開の「私はシベリヤの捕虜だった」を入手。


第4回:1月24日(土) 午後2~5時
シベリア抑留・戦後70年の課題は何か ――記憶と記録を継承・活用するために
講師:藤本和貴夫(大阪経済法科大学学長)、富田武(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授、成蹊大学名誉教授)

《講義内容》
 最終回は、全体のまとめを兼ねて、今後のシベリア抑留研究の進め方、社会全体でシベリア抑留体験をどう継承し、次世代に伝えていくか、を総合的に議論する。「シベリア抑留研究会」の呼びかけ人が、来年=戦後70年に向けて、アイデアや構想を語り、幅広い参加を呼びかける予定。知識と記憶・記録を集積し、広く利用可能な公開方法や展示施設、国による追悼のあり方なども考える。体験者・遺族中心の慰霊・追悼から社会全体の記憶継承事業となるために。

《講師プロフィール》
藤本和貴夫(ふじもと・わきお、大阪経済法科大学学長)
1938年京都府生まれ。大阪経済法科大学学長、大阪大学名誉教授、文学博士。日ロ極東学術交流会会長、ロシア東欧学会理事。ロシア近現代史、日ロ関係史、ロシア極東地域研究を専門とし、近年はシベリア抑留の研究にも取り組んでいる。『西洋近現代史研究入門(第3版)』(共編著、名古屋大学出版会)、『ロシア近現代史』(共編著、ミネルヴァ書房)、『言語文化学概論』(共編著、大阪大学出版会)、『ロシア学を学ぶ人のために』(編著、世界思想社)等、著書多数。

富田武(とみた・たけし、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授)
1945年福島県生まれ。1971年東京大学法学部卒業、1981年大学院社会学研究科博士課程単位取得。成蹊大学教授、同アジア太平洋研究センター所長、法学部長など歴任。現在、成蹊大学名誉教授、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授。2010年シベリア抑留研究会を設立、代表世話人。シベリア関係の編著書:ユーラシア・ブックレットNo.178『コムソモリスク第二収容所』(東洋書店)、『シベリア抑留者たちの戦後―冷戦下の世論と運動・1945-56年』(人文書院)

http://www.keiho-u.ac.jp/academia14/renzoku1.html

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