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リボー「福島の惨事と国家原子力主義の7つの原則」公開

3.11原発震災から6年が経過した。この日に福島第一原発で始まった過酷事故(それはまだ収束していない)を忘れないために、ティエリー・リボー「福島の惨事と国家原子力主義の7つの原則」(Thierry Ribault, « Le désastre de Fukushima et les sept principes du national-nucléarisme », in Raison Présente, numéro spécial « Le progrès, désirable ? », n°189, 2014)の翻訳を公開する。原文は以下で公開されている。

http://www.netoyens.info/public/BIBLIO/N-T_Ribault/RIBAULT2014_RP189.pdf

リボーが「国家原子力主義」と呼ぶものは、国家と科学の結合体であり、『脱原発の哲学』で私たちが「権力=知」と呼んだものに相当する。リボーが本稿で指摘する「国家原子力主義の7つの原則」は、福島第一原発事故後、今日に至るまで、国家と科学の結合体によって一貫して展開され続けている政策あるいはイデオロギーであり、それは科学とは何の関係もない。彼は、国家と科学の結合体が、国家科学として一貫して原発事故の健康影響を否認し(1、2、3)、放射能汚染地域で市民たちに被曝量を共同管理するよう促し(4)、その経験を通じて住民に原発事故のトラウマ、放射能汚染に由来するストレスを乗り越えさせる(レジリエンス=精神的な回復力)(6、7)、というシナリオを描いていることを明確に指摘している。しかし実際には、原発事故は精神的トラウマのみならず、被曝による過剰ガン発生などの健康影響をもたらしうる。国家と科学の結合体はそれを、レジリエンスによって乗り越え可能な単なるトラウマとストレスに矮小化しようとしているのである。

国家原子力主義の7つの原則:

1)あらゆるリスクを容認可能なものにすること

2)放射線の健康への影響を否定すること

3)科学を偽の良心に仕えさせること

4)全員を災害の共同管理者にし、自らの破壊の責任者にすること

5)原子力技術を自由の希求よりも大きな社会的力とすること

6)災害を治療薬にすり替える大いなる倒錯に傾注すること

7)人間としての人間を否定すること

ティエリー・リボーは、社会学者で、フランス国立科学研究センター(CNRS)、リール社会・経済学調査研究センター(CLERSE)研究員。福島第一原発事故後の福島の状況を、「市民放射能測定所」の活動を通じて描き出したLes sanctuaires de l’abîme. Chronique du désastre de Fukushimaの著者(ナディンヌ・リボーとの共著、Éditions de l’Encyclopédie des Nuisances, 2012)であり、それ以外にも、福島第一原発後の社会状況について多くの論考を発表している。

2017年3月11日 佐藤嘉幸

リボー「福島の惨事と国家原子力主義の7つの原則」PDF→

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