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論文「立憲デモクラシーの危機と例外状態」(佐藤嘉幸)公開

著者からのメッセージ

「立憲デモクラシーの危機と例外状態――デリダ、アガンベン、ベンヤミン、シュミットと「亡霊の回帰」」をここに公開する。本論文は、『思想』2014年12月号、特集「10年後のジャック・デリダ」に掲載されたものである。

本論文をいま公開することには理由がある。それは本論文が、安倍政権による集団的自衛権をめぐる解釈改憲と、その延長線上で日程の上る可能性のある憲法改定、とりわけ憲法への非常事態条項の付加の問題を扱っているからである。

安倍政権は2015年9月、集団的自衛権の行使を可能にする安保法を、半数以上の国民の反対を無視して成立させたが、この動きは、憲法が禁じている集団的自衛権を行使可能にすることで、憲法の平和主義の精神を骨抜きにするものであり、同時に、一内閣が憲法解釈によって実質的に憲法を変更すること(解釈改憲)で、近代的統治の最重要原則である立憲主義、あるいは法の支配の原理を無化するものである。

しかも、安倍政権は次の政治課題として、解釈改憲にとどまらず、憲法そのものの改定を狙っており、それは最初に、憲法への非常事態条項の付加として提起される可能性が高い(自民党が2016年に予定される参議院選挙で勝てば、まちがいなく憲法改定が政治日程に上がってくるだろう)。そのような条項が憲法に付加されれば、災害、戦争といった「非常事態」を名目として、表現の自由のような基本的人権が制限される可能性が極めて高い。

そもそも非常事態条項とは、戦間期ドイツのワイマール憲政下でファシズムの合法的な成立を可能にした悪名高い条項であり、そのような条項が現憲法に付加されれば、現憲法をまるごと無化できる体制が整うことになる。私たちはそのような事態が実現されかねない「立憲デモクラシーの危機」の現状に大きな危機感を持っている。本論文が、現在の政治がかかえる立憲主義の危機という大きな問題について考える一助になれば、幸いである。

佐藤嘉幸(筑波大学人文社会系准教授)

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