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『思想としてのミュージアム』関連ブックリスト公開

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『思想としてのミュージアム――ものと空間のメディア論』関連ブックリスト

ミュージアムについて考えるための、オススメの10冊(+番外編)

選書&コメント:村田麻里子(関西大学社会学部准教授)

(※「読みもの」として楽しめるもので、日本語で比較的簡単にアクセスできるものを選んだつもりだが、中には古本やKindleでの入手になるものもある。なお、リストは、アプローチしやすいものから、専門書的なものへとおおよそ並んでいる。翻訳本は後半にまとめた。)

1.小宮正安『愉悦の蒐集――ヴンダーカマーの謎』集英社新書ヴィジュアル版、2007年

 ミュージアムの前身ヴンダーカマー(=驚異の部屋)のうち現存するものをひとつずつ訪ね歩き、所有者たちの思考と嗜好をたどる旅。カラー写真や図版多数掲載の視覚的にも楽しい新書。

2.関秀夫『博物館の誕生』岩波新書、2005年

 明治維新期の日本に博物館が誕生するまでを、創設に向けて尽力した町田久成を主人公として物語風に描き出す。史実を丹念に追いながらも、読みやすさを意識した柔らかい文体の新書。

3.金子淳『博物館の政治学』青弓社ライブラリー、2001年

 日本の博物館というメディアがもつ「政治性」に切り込んだ1冊。戦時下計画された「国史館」と「大東亜博物館」という幻の国家プロジェクトの考察を軸に、博物館そのものが国家や社会のイデオロギーを媒介する装置であることを明らかにする。手に取りやすい青弓社ライブラリーシリーズ。

4.辻秀人(編)『博物館危機の時代』雄山閣、2013年

 博物館がどんな課題に直面しているかをもっと一般の人に知ってもらいたい、という趣旨で書かれた論集。メディアでも取り上げられた問題をはじめ、博物館の抱える困難を学芸員らが解説する。業界人でないと理解しづらい部分もあるが、普段博物館が外に向けて語りたがらない問題系を積極的に語り、共有しようとする本書の姿勢は重要。

5.吉田憲司『文化の「発見」――驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで』岩波書店、1999年(新装版2014年)

 博物館人類学という分野の存在が日本で広く知られるのに大きな役割を果たした1冊。異文化、あるいは「他者の文化」をミュージアムが扱う意味と、一連の行為や投げかけられるまなざしが必然的に生み出す非対称性について、包括的かつわかりやすく概説する。この「続編」ともいえる『文化の「肖像」』(岩波書店)が2013年に出ており、より開かれたミュージアムの模索という次のステージが示される。

6. 松宮秀治『ミュージアムの思想』白水社、2003年(新装版2009年)

 ミュージアムの核を為す西欧近代という思想の「暴力性」と「危険性」について、コレクションの制度化をめぐる歴史的考察を通じて精緻に検証する。ミュージアムの思想がきわめて透明なシステム、あるいは制度として全世界を一元化しうるものであることを読者に強調する、執念と迫力の1冊。

7.キャロル・ダンカン(著)川口幸也(訳)『美術館という幻想――儀礼と権力』水声社、2011年

 美術館という空間の権力作用を「儀礼」という概念から繙く。80年代以降、美術史という分野が、美術品やコレクションのみならず、それを収める箱そのものについて考える視点を獲得しはじめる。本書は一連の系譜に属する本の中でもっとも読まれているもののひとつであり、重要な邦訳本。原著は1995年。

8.ジェイムズ・クリフォード(著)太田好信ほか(訳)『文化の窮状――二十世紀の民族誌、文学、芸術』人文書院、2003年

 ミュージアムの設立と蒐集とは切っても切れない民族誌という近代的実践のポリティクスをあざやかに描き出す、批判的人類学・博物館人類学の金字塔。そのあまりの迫力と影響力の大きさから、クリフォードの議論には常に関係者の反論や批判が絶えない。原著は1988年。

9.スーザン・クレイン(編)伊藤博明(監訳)『ミュージアムと記憶――知識の集積/展示の構造学』ありな書房、2009年

 国家やコミュニティ、あるいは個人の記憶装置として、ミュージアムがいかに機能しているのかを検証する。記憶のメカニズムとミュージアムの関係は、最近話題の「負の遺産」や、アーカイブの問題を考える際にも避けて通れない。論文集ゆえの一貫性の弱さは否めないが、邦訳された類書が未だ存在しない中での貴重な1冊。原著は2000年。

10.ピエール・ブルデュー(著)山下雅之(訳)『美術愛好――ヨーロッパの美術館と観衆』木鐸社、1994年

 大規模な調査を元に、美術館に足を運ぶ人と運ばない人、楽しめる人と楽しめない人を文化資本の有無という観点から分析するブルデューの理論は、その後も来館者について論じる際に度々言及されてきた。文化的多様性が重視される現在、ミュージアムは彼の枠組みを更新できるのか。原作は1966年なので入手は難しいかもしれないが、重要な「古典」として最後に挙げておきたい。

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番外編「マンガでミュージアム!」
ミュージアムを扱うマンガをふたつ紹介する。

・カレー沢薫『ニァイズ 東京都写真美術館ニュース別冊~『クレムリン』出張版』講談社、2014年

 東京都写真美術館の広報誌に連載された異色のミュージアムマンガ。画期的な試み。

・黒田いずま『美術館のなかのひとたち(1)』竹書房、2014年

 ミュージアム内での仕事やそこで働く人の考え方をおもしろく切り取った4コママンガ集。親近感が湧く。

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