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幻視とレアリスム

クールベからピサロへ フランス近代絵画の再考

幻視とレアリスム

レアリスム、印象主義、アール・ヌーヴォー――近代はどう描かれたのか。 近代芸術にみられる認識や想像力の可能性を読み解く。

著者 石谷 治寛
ジャンル 美術・芸術
出版年月日 2011/07/30
ISBN 9784409100295
判型・ページ数 A5・320ページ
定価 本体4,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序論
1 経験の喪失――芸術と農村問題
2 近代芸術に関する先行研究と本論の射程


第一部 表象と主体の二重化

第一章 肖像の真理――ギュスターヴ・クールベの肖像画と初期写真に関する試論
1 さまざまな肖像とその社会的機能
2 クールベの自画像と自己のイメージ
3 体感をめぐる経験論と生理学
4 錯覚と幻覚の現実性
5 フランシス・ヴェイの写真論と肖像の真実らしさ(ルビ:ヴェリテ)
6 クールベを映した二枚の写真

第二章 戦争と革命の寓意――眠る裸婦とりんごの静物画
1 「裸婦」と「りんご」の戯画とコンテクスト
2 記念碑をめぐって――ヴァンドームの円柱とミロのウェヌス
3 眠る裸婦と優美/恩寵
4 パリ・コミューンの開始と終結
5 りんごの静物画
6 第三共和政と後続の画家たち


第二部 労働と心身

第三章 エッフェル塔の時代の「プリミティヴィズム」と「モダニズム」――カミーユ・ピサロの二作の《りんご採り》をめぐって
1 一八八〇年代の「プリミティヴィズム」
2 スーラとピサロによる「近代批評」
3 失楽園
4 ピサロ《社会の卑劣》の風刺――「死の舞踏」とともに
5 近代的「死の舞踏」とオートマトン、あるいは「マリオネットたちの劇場」
6 盲目の連帯

第四章 憂鬱・夢想・思考の通路――休息する農婦たち
1 ミレーとピサロ――懈怠 [acedia]から疲労[fatigue]へ
2 《木を折る農婦》と火の隠喩
3 農村問題と狂気
4 「行動によるプロパガンダ」をめぐって
5 《おしゃべりする女》と夢想の場所

第五章 「労働は心と身体の健康を驚くほど調節する」――工芸と装飾をめぐる身体のリズム
1 疲労をめぐる労働の科学
2 「意志」と「共感」のギュイヨーの美学
3 ヴァン・デ・ヴェルデと自然のデコール
4 戯画から挿絵へ
5 エラニー・プレスにおける英仏の様式の混淆
6 美しい本の理念


第三部 自然環境と都市

第六章 風景の連作――自然主義とアナーキズムの自然感情
1 十九世紀の「環境」概念と人間科学
2 テーヌの芸術論と環境
3 ルクリュにおける自然感情と美
4 一八六〇年代の紀行文学とクールベの風景画
5 自然のエコノミー――モネとピサロの連作=系列(セリー)
6 工業化の時代と点描主義

第七章 光の世紀、始まりの終わり――近代都市と群衆・シネマトグラフ・記念碑
1 モネとピサロによるルーアンの連作
2 十九世紀末の都市の祝祭――一八九七年の謝肉祭
3 ドレフュス事件をめぐるメディアの狂騒
4 新世紀のポン・ヌフ橋――アンリ四世像と老婆

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内容説明

19世紀において「調和と自由」とは、環境と個人との関連を表す重要な概念であった。クールベ、ピサロによる自然をめぐる認識は、夢や幻視の領域を通して、同時代の現実を鋭く見据えていた。近代的主体の二重化や自我を表した肖像画、都市化にともない変わり行く農村や働く農民の表象、そして、自然と都市の環境が芸術的に表現された風景画。近代を代表する芸術作品を読み解きながら、同時代の哲学やアナーキズム思想、生理学・心理学、地理学や社会学の位相を明らかにする。

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