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呪われたナターシャ

現代ロシアにおける呪術の民族誌

呪われたナターシャ

現代ロシアにおいて、呪術など信じていなかった人びとが呪術を信じるようになるプロセス、およびそれに関わる社会的背景を描く

著者 藤原 潤子
ジャンル 人類学
出版年月日 2010/06/20
ISBN 9784409530405
判型・ページ数 4-6・270ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序章 呪術の「リアリティ」
1 呪術を信じはじめる人びと
2 ロシアの呪術
呪術とキリスト教/宗教的あるいは刑事的罪としての呪術――十七世紀まで/「迷信」化しはじめる呪術――十八世紀/さらに「迷信」化してゆく呪術――十九~二十世紀初頭/社会主義建設の障害としての呪術――ソ連時代/再活性化する呪術――ポスト社会主義時代/本書の位置づけ
3 文化人類学における先行研究
4 本書の構成
5 調査の概要と記述対象

第一章 呪われたナターシャ――「体験」されてしまった呪術の物語
1 ナターシャの生活世界――ロシア連邦カレリア共和国
2 ナターシャとの出会い
3 ナターシャの語り
祖母の人生――呪いの始まり/子ども時代の出来事――呪術師の呪い/結婚生活――姑の呪い/離婚――姑・愛人・ジプシー・夫の呪い/妹の不幸――世代を超えて伝わった呪い
4 隠されていた「真実」の発見

第二章 世代を超えて伝えられた秘儀
1 北ロシアで呪術師を探す
2 ポリーナの場合
真夜中の儀礼/神の力で癒す/医者と呪術師/様々な人助け/邪悪な呪術の依頼/洗礼の効力/遠方から訪れる人びと/孫息子に受け継ぐ
3 ニーナの場合
呪術で結婚させられる/姑に呪文を教わる/呪術師の死にぎわ/知識を隠す/力を失った呪文
4 リディヤの場合
母から受け継ぐ/共産主義者の夫/良い呪術と悪い呪術/娘に受け継ぐ
5 アンナの場合
ノートいっぱいの知識/伝授のきまり
6 「効く」からこそ

第三章 呪術の「科学」化と無神論の「克服」
1 超能力者とよばれる人びと
2 力の源泉
3 信仰への目覚め
4 ロシアの呪術と世界のオカルト
世界のオカルトとの出会い/異種混交の治療儀礼
5 呪術の「科学」的根拠
6 正教会による呪術との闘い
7 無神論の「克服」

第四章 マスメディアが作りだす新たな呪術ネットワーク
1 実用呪術書の売られ方
2 ベストセラー呪術師ステパーノヴァ1
万人に伝授される知識/読者との対話/全国の呪術師の師として/無限に創造される「伝統」
3 地方紙における呪術講座
4 口コミ情報紙における助け合い
5 地縁共同体に代わるネットワーク

第五章 呪術実践を支える学術成果
1 流用される学術書
2 民族学者への非難
3 呪術を信じはじめる民族学者――「カレリア一有名な呪術師」の誕生
4 民族学者への悩み相談――「渇きの呪術」をめぐって
5 オカルト化する学術研究――シャーマニズム研究者らの語りから
6 本書『呪われたナターシャ』の効用
終章 時空を超えて循環する知識
呪術の「体験」/合理化される非合理的信念/循環する知識

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内容説明

1991年のソ連崩壊以降、ロシアでは呪術やオカルトへの興味が高まった。本書は、三代にわたる「呪い」に苦しむナターシャというひとりの女性の語りを出発点とした現代ロシアの民族誌である。呪術など信じていなかった人びと―研究者をふくむ―が呪術を信じるようになるプロセス、およびそれに関わる社会的背景を描く。

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