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目次
統治の秘法――文化建設とは何か?:文化建設の理念/「擁護」されるべき「文化」と何か? /大東亜共栄圏の文化建設/「擁護」から建設へ 藤井祐介/シンガポールにおける皇民化教育の実相――日本語学校と華語学校の比較を中心に:日本占領下における教育政策/日本語学校/華語学校/教育現場にみえる皇民化政策の実態 渡辺洋介/花木蘭の転生――「大東亜共栄圏」をめぐる日中大衆文化の交錯:戦時上海における『木蘭従軍』/『木蘭従軍』の越境と受容/「国防映画」から「国民劇」へ――『木蘭従軍』の転生/翻案されるジェンダー 鷲谷 花/稲も亦大和民族なり――水稲品種の「共栄圏」:帝国の膨張と品種改良――問題の設定/帝国――天皇と品種改良/陸羽一三二号の植民地化/台湾の蓬莱米/日本植民地育種の遺産――結論 藤原辰史/葬法の文明論――植民地化における土葬と火葬:日本帝国にとっての朝鮮の伝統/植民地統治下での墓地の問題化/葬法をとおしてみる朝鮮人と日本人/一九四〇年、朝鮮人による朝鮮人の火葬提言/墓と葬法からみた内戦一体/解放後への影響 高村竜平/「大東亜共栄圏文化」とその担い手たち:「共栄圏文化建設」の基礎/大東亜の文化体制と文化工作――その基本理念をめぐって/雑誌『東亜文化圏』――「文化人」たちの「共栄圏文化」/理念・実態・虚構――「文化建設」の三つの層
内容説明
大東亜戦争に不可欠の要素であった「大東亜共栄圏文化」の実相と、その建設をめざす実践に迫る稀有な取組み。1940年、第二次近衛内閣の「大東亜新秩序」「高度国防国家」建設という基本方針のもとすすめられた列強との全面戦争は、欧米列強のアジアにおける植民地支配を打破してアジア自身のアジアを建設するという大義名分を基本とし、武力の戦いという面とともに、植民地支配のもとで形成された文化とは別の固有の文化を奪回し、再建する戦いという面をもっていた。本書では、文学、映画、教育、葬送儀礼、農業科学、学術調査といった固有の対象から、この総括的理念が、まさに日本の近代そのものの問題であることを明らかにし、「近代の超克」という現在と未来をも見据える問題がもつ射程のもとに、とらえようとする野心的な試みである。
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