目次
序章 共感と解釈 患者と治療者の共通体験の探求(成田善弘)
第一章 心理臨床における関係性の体験からみた共感と解釈 藤原勝紀
第二章 言葉を超えないこと 共感から解釈へ 松本邦弘
第三章 「共感のない解釈」と「解釈のない共感」 李 敏子
第四章 「共感」の解釈 中本征利
第五章 相手に中に自分を見いだすとき 岡田 敦
第六章 行動化―その共感と解釈 鈴木 龍
第七章 共感の大切さとむずかしさ 菅 佐和子
第八章 共感と解釈 ユング心理学の視点から 横山 博
第九章 夢分析における共感と解釈 渡辺雄三
第十章 共感―不可能な可能性 藤山直樹
終章 告白、解明、教育、変容 共感と解釈をめぐって 氏原 寛
あとがき(成田善弘)
内容説明
感じること/知ること 心の深みを理解し治療的にかかわるために 本書は、同じ人文書院から先に出版され、さいわい好評を得た『転移・逆転移―臨床の現場から』の続編である。転移、逆転移という言葉が精神分析に発しているのに対して、共感は、ロジャーズが強調したこともあって、心理臨床家にもなじみの深いものである。解釈は精神分析学と縁の深いことばであるが、共感と不即不離の関係にある。大雑把に言って、共感はすぐれて感情的なプロセスであり、解釈は知的である。それだけ相反的なプロセスと考えられやすい。しかし感じるためには知らねばならない。よって立つ理論的枠組みがいちじるしく共感的能力を高める (逆に妨げる)場合が多いことは、臨床家のつとに気づいているところである。どういった場合に促進的、どういうとき妨害的になるのかは微妙である。しかし本書の著者たちは、いずれもすぐれた実践家と同時に理論家であるだけに、そこのとことを自らの経験に照らしてまさにユニークな見解を示している。同じ問題に試行錯誤をくり返しているはずの同行の方たちに、必ずや参考になるところ大であると、信じている。(まえがきより)