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文学の力

戦争の傷痕を追って

文学の力

日本とアジアの文学の現場を訪ねる

著者 音谷 健郎
ジャンル 文学 > 日本文学・文芸評論 > 日本文学評論
出版年月日 2004/10/01
ISBN 9784409160879
判型・ページ数 4-6・256ページ
定価 本体2,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

Ⅰ 文学の力
(一) 屹立する志――山代巴、農村女性と歩む  鶴 彬、反戦句鋭く川柳改革  沖野岩三郎、大逆事件語る覚悟  槙村 浩 、反戦・革命の詩人  中野重治、転向見すえた粘りの筆/(二) 焼えつくす魂――原 民喜、至純の世界を追って  久坂葉子 、伝説化した才気の終末  岸上大作、「恋と革命」の挽歌  島田清次郎、文壇外小説の栄光と転落  金 鶴泳:内面深く垂らした錘(おもり)/(三) 傷痕の証言(中国)――横光利一:『上海』、民衆のダイナミズムを凝視  石川達三『生きている兵隊』、南京の悲劇を告知  清岡卓行『アカシアの大連』、モダニズム詩人を生む街  木山捷平『長春五馬路』、「満州国」の幻想  島木健作『満州紀行』、開拓移民の危うさ/(四) 事件としての文学――中野重治の詩の波紋  斉藤三鬼と京大俳句事件  里村欣三の徴兵忌避  太田洋子の小説削除  高橋和巳と「わが解体」
Ⅱ 海峡のこだま
(一) 負荷からの出発――尹東柱、一点の恥なきこと  湯浅克衛、検閲に耐える朝鮮直視  金龍斎、親日のままの沈黙  浅川巧、朝鮮美の発見  孫戸妍、日本語に託した苦楽/ (二) 執着への沈潜――小林勝、植民地的郷愁の拒絶  金素雲、民謡に宿す民族の魂  金子文子、朝鮮体験をバネに  金石範、非情と憧憬の『火山島』  日韓に広がる『火山島』解読の輪/(三) 方程式への朝鮮――金芝河と語る、抵抗と『生命運動』の挑戦  李浩哲に聞く/分断を書く理由  鄭承博、不条理への静かな抵抗

Ⅲ  越境した日本語
(一) 『台湾万葉集』の人びと――短歌に託す「親日」の陰影―王進益、蕭翔文  「一視同仁」の虚構を超えて―楊海瑞  「親日」を超えた視線―黄霊芝、王昶雄  短歌の継承不安―黄得龍、呉建堂  「自分探し」のさなか―頼柏絃、黄春明、陳映真/(二) 台湾の日本文学――百回目の台北川柳会  押しつけられた言語の哀愁  『宋王之印』の日本刊行  陳映真の郷土文学  葉石怒濤の台湾・日本文学論

Ⅳ 徴用作家の軌跡
(一)徴用作家の見た南方――井伏鱒二、シンガポールで新聞発行  里村欣三、マレーシア快進撃、武田麟太郎、インドネシア宣伝隊  今日出海、フィリピン放浪/(二) 戦争体験の行方――火野葦平、「文化戦犯一号」の圧力  井伏鱒二、人間の品位  林芙美子、落差と連続  丹羽文雄、愛欲作家の気骨  阿部知二、良心の旅路  徴用作家が残した課題―「戦後責任」を問い直す

Ⅴ 風土が生む文学
河東碧梧桐と松山。郷党の刺激が育む  尾崎翠と鳥取県岩美町。周囲生かし築いた独自世界  木山捷平と岡山県笠岡。死生支える故郷の土  三好達治と大阪。「あいまいな故郷」美しく歌う  加納作次郎と能登・富来町。心に巣くう「村」の日常  外村繁と近江・五個荘町。家と自然が紡ぐ  中野鈴子と福井県丸岡町。悪戦苦闘し親しんだ故郷の土  坪井栄と小豆島。身を寄せ合った村のぬくもり  大原富枝と高知県本山町。楽天性支えた郷土の歴史  有吉佐和子と紀ノ川。ルーツ探り故郷掘り起こす  大江健三郎と愛媛県内子町。魂救う聖なる場所

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内容説明

戦争や植民地支配の中で、日本やアジアの作家たちは自分の表現と生き方を求めてどのように苦闘したか。著者は、時代の流れの渦中で書かれた作品を読み直し、その現場に足を運び(日本各地、韓国、中国、台湾、東南アジア)、関係者に話を聞き、日本の近代文学を下から担った作家たちの営為の跡を追求する。文学の衰退がささやかれる昨今、「文学の力」とは何かを考える問題作。朝日新聞に好評連載。

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