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空気のような世界、空気としての構造

カフカより孤独に

空気のような世界、空気としての構造

多様なカフカ論の袋小路を突き抜ける試み

著者 南 剛
ジャンル 文学 > 海外文学・文芸評論 > 海外文学評論
出版年月日 2005/04/01
ISBN 9784409140598
判型・ページ数 A5・290ページ
定価 本体2,700円+税
在庫 在庫あり
 

目次

第一章 空気と世界構造――ヘタうまカフカ:空気のような世界構造――書く出どころと空気/空気としての世界構造――空気と長編/ヘタうまカフカ――書く出どころと書くこと


第二章 変成とカタルシス――『アメリカ』『審判』試論:先行する世界把握変成/遅れてくる世界構造/世界観と目的意識/第三章 機構と彼岸の女性像――『城』試論:はじめに/村と城/機構と幻想実体/戦いと彼岸の女性像/第四章 イメージの初源と終焉――カフカ短編小説試論、またはベンヤミンとともにみる必敗の回避:形象論理と所与性――またはカフカの初期短編/イメージとストリー――またはカフカの中期短編/謎と消失点――またはカフカの後期短編

Ⅲ (旧構想間奏)
第五章 女 へ――ムージル『合一』『三人の女』における愛と不倫:カントとムージル/愛の三角関係/物語の析出/第六章 
空虚でたのしい走行――カフカ「罪、苦悩、希望、真の道に関する考察」について:小説以外の散文作品での倫理構成/行為の抑制と是認/走行の成功との構造/第七章 凝固と反転――カフカの感覚と対象性についての斜視的間奏:日常感覚と作品世界/凝固と二重身/反転の作品的実現


第八章 真理と正義――ベンヤミンのカフカ論について:世界の年齢(ヴェルトアルター)とはなにか――ベンヤミンのカフカ論の完備性・構築性/太古と神話――ベンヤミン思想そのもにおける成果と問題点/第九章 ベンヤミンのヘルダーリン論または『海辺のカフカ』――「詩作されるもの(ダスゲディヒテテ)」をめぐって:ベンヤミンの立論前提の再整理――過去分詞一般の三重性と三相の圏域/ベンヤミンのヘルダーリン把握――根本的ただしさと原理的あやうさ/村上春樹における「詩作されるもの(ダスゲディヒテテ)」――傑作『ねじまき鳥クロニクル』作品圏と駄作『海辺のカフカ』作品圏/第十章 カフカとベンヤミンにおける彼岸的なものの近代的位相――超越論敵世界と宇宙、あるいは思考可能性と論理総体:カントと福音書とアメリカ――理性宗教ならぬ超宗教と啓示のオイレカと独立独歩の良心/カフカにおける論理的に彼岸的なもの――「ことがらのさらに外なる全体者」とそこからの視線/ベンヤミンにおける思考的に彼岸的なもの――「メシア的なもの」と対応する歴史内現在/終章

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内容説明

構造が作品に求められそうで、しかし追いつめていくとそこの世界は空気のようなものでしかない<空気のような世界>、カフカにとって世界構造自体が空気としてしか見えるべくもなく、それこそがしかし正確さそのものという<空気としての構造>──矛盾含みの複眼的思考の果てに見えてくるカフカの新しい姿

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