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サルマン・ルシュディの文学

「複合自我」表象をめぐって

サルマン・ルシュディの文学

あの『悪魔の詩』の作家、サルマン・ルシュディ(ラシュディ)のほぼ全作品を批評、分析し、その思想的テーマを導き出す。

著者 大熊 榮
ジャンル 文学 > 海外文学・文芸評論 > 海外文学評論
出版年月日 2004/09/01
ISBN 9784409140574
判型・ページ数 A5・370ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序章 サルマン・ルシュディの「複合自我」表象:「複合自我」の定義に向けて/「複合自我」表象の文学

第一章 「複合自我」の象徴としての鳥――『グリマス』について:「不条理SF」/『グリマス』の世界(1)――アナグラム遊び/『グリマス』の世界(2)――物語と「人生」/『グリマス』の世界(3)――「シムルグ」という鳥/ボルヘスの影響/ルシュディと「メタフィクション世代

第二章 「複合自我」の「歴史」的位相――『真夜中の子供たち』について:「魔術的リアリズム」の作品/『百年の孤独』と『真夜中の子供たち』の類似性/「魔術的リアリズム」という結節点/『百年の孤独』と『真夜中の子供たち』の差異/『グリマス』から『真夜中の子供たち』への転移/サリーム・シナイその他の登場人物の構成要素/「複合自我」の「歴史」的位相/「個人」と「歴史」の「比喩」的関係

第三章 「複合自我」の「政治」的位相――『恥辱』について:東洋的恥辱感覚/「恥辱」の化身/「恥知らず」の権化/登場人物としての作者/モデルとしてのファイズ・アフメド・ファイズ/「ノンナチュラリズム」的モデル小説/「複合自我」の「政治」的位相

第四章 「複合自我」の「移民」的位相――『悪魔の詩』について:ルシュディの「移民」論/ルーツ/コミュニティ/言語/「複合自我」の「移民」的位相

第五章 「複合自我」の「愛」の位相――一九八九年以降の作品について:幽閉後のルシュディ/短編集『東、西』/『ムーア人最後の溜息』/『彼女の足下の地面』/『怒り』

結 章 「複合自我」表象の文学:「複合自我」表象の意味/ルシュディの同伴者と後継者

補 章 ルシュディ「複合自我」的半生と意見

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内容説明

20世紀、もっとも優れた作家のひとりであるサルマン・ルシュディ(あるいはラシュディの名で知られているだろう)は、1989年、代表作『悪魔の詩』がモハメットを侮辱しているとして、ファトワの宣告を受けて以降、暗殺の危機にさらされ、イギリス政府の保護下で幽閉生活を余儀なくされている。日本でも、翻訳者が暗殺される事件があり、本来であればすべての作品が翻訳されていてもおかしくない作家であるにもかかわらず、『悪魔の詩』以前に訳された作品のほかには、わずかに児童書と短編集、紀行文『ジャガーの微笑み』が上梓されたのみである。本書は、1998年の事実上のファトワ解除以降、アメリカを中心として急速に厚みを増した研究の成果を踏まえ、この大作家を未訳のものも含めほとんどすべての作品に即して評価し、ガルシア=マルケス、ボルヘスなど、魔術的リアリズム作家とのつながりも論じ、「複合自我」と多元主義的セキュラリズムという特異なテーマを導き出す。日本では初となる本格的研究書である。

付録として、彼の創作活動と密接なつながりをもつその半生を記した小伝の一章を設けた。

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