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フランス〈心霊科学〉考

フランス〈心霊科学〉考

近代の申し子たる「心霊科学」近代西洋の心霊科学者たちの一次資料を博捜踏査し、宗教と科学をめぐる今日的課題の淵源を探る

著者 稲垣 直樹
ジャンル 思想 > 神秘思想
出版年月日 2007/10/01
ISBN 9784409040904
判型・ページ数 4-6・400ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

第一章 「近代」の申し子としての「心霊科学」: 1 「聖なる構造」の終焉  国民国家のヘゲモニー   民主的な認識装置/ 2 不可視へのまなざし  「心霊科学」という文明現象  「心霊写真」なるもの  学問分野としての確立へ   起源とされる出来事/ 3 時代のパラダイム  「近代」というマクロ・パラダイムの基礎  「直線の時間」、因果律の時間   三次元空間の認識と表象世界の拡大  時間進行と空間表象の多重化/ 4 「近代」のパラダイムとしての実証主義  時代の要請   「実証的」positifの意味  「進歩の時間」、諸科学の統合  「実証的状態」の科学の在り方  コント思想の背景 ・実証主義の「相対主義」/第二章 創造的シンクレティズムの時空 ―ヴィクトル・ユゴーの「降霊術」体験:1 「降霊術」に没頭する   めくるめく混交の時空  脱キリスト教世代のユゴー  「降霊術」開始の経緯/ 2 「降霊術」の方法  今日に伝わる「降霊術の記録」   叩音の「モールス信号」  叩音連打の驚くべき速度/3 テキスト制作の主体の問題  叩音連打が遅い場合  「記録ノート」の筆跡の検証   重複するユゴー自筆の記録/4 ユゴー自筆の記録を精査する  ユゴー記念館所蔵の記録  「降霊術記録ノート」とユゴー自筆テキストの比較   ユゴーの余白の書きこみ  テキストの誤記・訂正の意味  叩音連打が早い場合/5 「降霊術」と無意識  テキスト製作者の無自覚   ミュチニの論考の問題点  ユゴーの頭脳の牢獄/6 到来する「テーブル」の宗教の時代  ドルイド教からキリスト教を経てフランス革命へ   「降霊術」による「墓の革命」  国民国家の神話形成/7 シンクレティズム作品成立に向けて  ユゴーと「テーブル」の相互干渉と軋轢   相互干渉も新たな段階  オリジナリティーの危機/8 「闇の口」が語る  「テーブル」の宇宙観  度重なる詩句の一致   「テーブル」が命令する  命令の過小評価とその実行  「語り」の二重構造/9 「闇の口が語ったこと」を中心とするシンクレティズム  世界表象の超(メタ)=空間   グノーシス主義的なるもの  グノーシスの鏡、ユゴーの鏡  カバラ的なるもの  輪廻転生の起源  仏教に向かうベクトル/第三章 スピリチスム―アラン・カルデックの「科学的宗教」 :1 実証主義の時代の「科学的宗教」  キリスト教の先を行く「宗教」  「霊界通信」に対する強い懐疑  実証主義のパラダイム   「霊界通信」の「科学性」の根拠/2 「転生」する「霊たち」  「霊世界」とは何か  人間の死、「霊世界」への回帰   「霊」の進歩  「霊」の階級  人間の誕生  カルデックとペスタロッチ  「自然の法」/3 実証主義的キリスト教  キリスト教の変革   『スピリチスムによる福音書』  ソクラテス、プラトン  「法」の系譜  「真実の霊」 ・「天国」・「煉獄」・「地獄」批判/4 旧約聖書の「創生」を修正する   『スピリチスムによる創生・奇蹟・予言』  カルデックによる「実証的創生」  人間の創造  カルデックの死とスピリチスムのその後/第四章 科学のフロンティアを拓く―天文学者カミーユ・フラマリヨンと「心霊科学」:1 カルデシスムからの出発   フラマリヨンの方法論  カトリック信仰からの脱却  カルデックの「学会」に入会する  カルデシスムとの決別/2 宗教の支配から科学の支配へ   アンチ=カトリック教会の立場  激しいカトリック批判  コントの実証主義を超えて/3 「心霊」を科学するための実験   エウサピア・パラディーノの「心霊実験」    トリックの暴露  「心霊現象」の分類・整理  「心霊現象」の理論化/4 「心霊現象」の事例収集と分析・総合   四千の事例を集める  死と「心霊」の問題  「魂」の死後存続と永続性  死後存続における魂の運命  建築物にまつわる「心霊現象」   「心霊研究」の無限螺旋構造

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内容説明

近代パラダイムの最大の特徴である「科学主義」、その伸張は宗教の退潮と表裏一体であった。しかしそもそもの初発からここには大きな逆説がはらまれていた。宗教が領域としていた「現実を超えた世界」「死後の世界」等々の超越世界の表象を支えることを期待されたのが、こともあろうに科学であったのだ。「科学主義」は科学に取り入れられないものがその存在を否定・排斥されるという今日的な意味を持つ以前に、あらゆる事象が科学に取り込めるという意味を持っていた。そして、「心霊科学」はこの事実を雄弁に語る。本書は、井上円了、平田元吉、高橋五郎、福来友吉、山川健次郎等々の特殊日本の「心霊科学」をも視野に収めつつ、そのルーツであると同時に、なによりもまず、宗教と科学をめぐる今日的な課題を照射するひとつの有力な光源である欧米近代の「心霊科学」の社会思想的背景を一次資料まで踏査し、その展開の代表例をヴィクトル・ユゴー、アラン・カラデック、カミーユ・フラマリヨン等の営為のうちに探る「知の考古学」である。

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