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広島 復興の戦後史  新刊

廃墟からの「声」と都市

広島 復興の戦後史

戦後広島を、無数の声とさまざまな力線が交差する空間として描き出す渾身作。

著者 西井 麻里奈
ジャンル 社会
歴史
出版年月日 2020/04/12
ISBN 9784409241295
判型・ページ数 4-6・380ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序章
 1 先行研究と本書の位置づけ
 2 本書の対象と方法
 3 本書の構成

第1章 廃墟と描線――都市復興のなかの境界画定
 1 戦災復興土地区画整理事業の開始
 2 異議申立ての声――陳情書の考察・七つの視点から
 3 廃墟と描線

第2章 死者の都市――移動する墓碑の軌跡
 1 死者と都市
 2 復興事業と墓碑移転――誓願寺と川内村義勇隊
 3 適正化される空間――都市の復興と死者

コラム1 働いた者の手――復興の空間経験

第3章 顕在化する復興の境界線
 1 一九五〇年代、都市の住宅復興
 2 分岐する住まい――引き続く戦災の影響
 3 立退きの延期を求める声
 4 陳情書と都市――境界侵犯/画定の発話行為

第4章 禁じられた復興を生きる――広島平和記念公園
 1 公園に住む人びと
 2 記念空間の形成と立退き
 3 原爆ドームを見上げる街

第5章 「不法占拠」という復興経験――一九七〇年・相生通り調査から
 1 「相生通り」調査の同時代
 2 個人史のなかの調査経験
 3 「いえ」がつくる「まち」
 4 「基町のおと」の言葉のゆくえ
 5 調査から記録へ――調査経験の再定位

コラム2 波紋を呼び寄せる――「相生」から現代美術館へ

終章 廃墟のなかの「声」を読みとく

あとがき

引用文献
初出一覧
図版資料の出典および提供者

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内容説明

破壊の後を生きる

廃墟からの「復興」が唱えられるとき、聞こえなくなる声がある。生き残った人々は、自らの暮らしを取り戻すため、立退きをともなう都市計画に抗い、行政に対し多数の陳情書をしたため、声をあげようとした。本書はこの陳情書に初めて光を当てた画期的研究である。戦後広島を、無数の声とさまざまな力線が交差する空間として描き出す渾身作。

「廃墟をどうにか手なづけようとする無数の試みが交錯し、ぶつかり合う場所に、歴史、社会、都市、そしてそこに生きる人びとの姿が立ち現れる。この街で、人びとが生きて住むために、苦難を訴え、ときにより良く暮らすための狡知を含みながら語った言葉が、今や失われた街や、戦後日本社会の路地裏へと、私たちを誘う。そして破壊されたこの街は、複数の声がぶつかり合うなかで、もう一度「広島」になり、今に至る。ならば、広島はいかに復興してきたのか。」(本書より)

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