目次
第一章 人間と自然とのかかわり
1 人間の世界と自然の世界
2 自然のなかにある人間の世界
3 自然世界とは何か
第二章 人間世界の離脱
1 人間世界と自然世界の連関
2 人間世界と自然世界の相互連関的な掻き乱し
第三章 人間世界の脆さ
1 前代未聞の事態への意識――科学技術化・地球からの離脱・人間の条件の崩壊
2 人間世界の限界とエコロジカルな現実との出会い
第四章 エコロジカルな世界
1 エコロジカルなもののリアリティとは何か
2 エコロジカルな時代におけるリアリズムの再生
3 エコロジカルな世界を受けいれる
第五章 事物の世界と詩的言語の可能性
1 事物のリアリティと詩的言語
2 「物化」への詩的実験
第六章 エコロジカルな共存
1 自己完結的な世界の論理とその無理
2 共存空間とは何か
あとがき
人名索引
内容説明
一万年に及んだ完新世が終わり、新たな時代が始まっている。
環境、物質、人間ならざるものたちとの共存とは何か。メイヤスー、ハーマン、デランダ、モートン、チャクラバルティ、アーレントなどを手掛かりに探る壮大な試み。
人類の活動による大規模な環境変動は地球の姿を変え、地質学的に新たな時代「人新世」に突入している、ノーベル賞受賞科学者クルッツェンはそう述べた。21世紀に入り分野を越えたホットワードとなったこの概念は、あらゆる側面で現実の捉え方に再考を迫っている。近年思想界において登場した思弁的実在論や新たな唯物論といった議論も、こうした潮流と無関係ではない。本書では、人新世という概念や現代の思想潮流を全面的に引き受け、思想の更新を図るとともに、新時代における「人間の条件」をアーレントを手掛かりに探ってゆく。人間と自然が溶け合う世界の本質に迫る、著者の飛翔作。
「本書は、メイヤスーの後に展開し広がりつつある思想潮流で提示されている人間と自然という問題系を踏まえ、そのうえでアーレントが考えようとした人間の条件について、あらためて考えようとするものである。ただし、ただ新しい思想の紹介を自己目的化するものではない。むしろ、これらの思想が生じつつある時代的状況がいかなるものかを考えることを重視したい。」(本書より)
序論(PDF)→★
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