ホーム > 引揚げ文学論序説

引揚げ文学論序説  新刊

新たなポストコロニアルへ

引揚げ文学論序説

『和解のために』『帝国の慰安婦』の著者による、画期的戦後文学論。各紙書評掲載。

著者 朴 裕河
ジャンル 文学
歴史
アジアの本
出版年月日 2016/11/30
ISBN 9784409160992
判型・ページ数 4-6・210ページ
定価 本体2,400円+税
在庫 在庫あり
 

目次

「引揚げ文学」を考える――序にかえて
  1 引揚げの忘却
  2 「引揚げ文学」とは何か
  3 「日本近代文学」の組み替えは可能か

第Ⅰ部 総論

おきざりにされた植民地・帝国後体験――「引揚げ文学」論序説
  1 忘れられた「引揚げ文学」
  2 少年・少女たちの引揚げ文学
  3 定住者の権力と転倒された差別
  4 記憶の抑圧と封印
  5 子どもの可能性――植民地・ジェンダー・階級
  6 当事者=非定住者感覚から

第Ⅱ部 各論

定住者と、落ちていく者と――『明暗』における小林登場の意味
  1 明・暗の時代
  2 津田と小林――不安を抱きしめて
  3 小林と朝鮮
  4 定住の条件
  5 恐怖・排除・不安

引揚げ・貧困・ジェンダー――湯浅克衛『移民』に即して
  1 棄民・移民・開拓民
  2 錯綜する加害と被害
  3 貧困とジェンダー――引揚げ者の戦後
  4 当事者に寄り添う

「交通」の可能性について――小林勝と朝鮮
  1 痛みと恥――「交通」の回路
  2 支配と恐怖――「交通」の隘路
  3 暴力と「交通」

内破する植民地主義――後藤明生『夢かたり』論1
  1 「夢」としての植民地
  2 人種化の空間
  3 境界を越えるもの
  4 混交する植民地・混交する言葉
  5 植民者のトラウマ――内破する帝国主義

植民地的身体の戦後の日々――後藤明生『夢かたり』論2
  1 「夢かたり」「鼻」――「半人前」の植民地風景
  2 「虹」――植民地的身体の二つの精神風景
  3 「南山」――命と死の空間
  4 「煙」――不安とやすらぎと
  5 感覚を描くことの意味

戦後思想と植民地支配――まとめにかえて
  1 戦争の記憶、支配の忘却
  2 棄民から「記憶」の棄民へ
  3 忘却への警告
  4 当事者の忘却と定住者中心主義


あとがき

初出一覧

人名索引

このページのトップへ

内容説明

戦後史を揺さぶる画期的論考

1945年8月、帝国日本の解体とともに満洲、朝鮮、中国から数百万の人々が帰国する。その中には後に作家となり、苛酷な引揚げ体験を苦しみながら表現したものたちがいた。本書では試みにそれらを「引揚げ文学」と名付ける。戦後史が欠落させた外地の記憶と植民者の複雑な経験は、戦後史そのものの再検討を要求するだろう。『和解のために』『帝国の慰安婦』の著者による、画期的戦後文学論。

【占領地・植民地で幼少期を過ごした作家たち】

埴谷雄高、湯浅克衛、森敦、五味川純平、古山高麗雄、清岡卓行、村松武司、安部公房、小林勝、森崎和江、日野啓三、澤地久枝、梶山季之、林青梧、富島健夫、後藤明生、五木寛之、生島治郎、池田満寿夫、宇能鴻一郎、三木卓、大藪春彦、天沢退二郎、別役実、なかにし礼、尾崎秀樹、山崎正和、本田靖春、橋田壽賀子など

このページのトップへ

関連書籍

満洲からシベリア抑留へ

満洲からシベリア抑留へ

女性のシベリア抑留研究第一人者による成果

著者:生田 美智子
 
親密なる帝国

親密なる帝国

日本と朝鮮、戦時下における文化「協力」

 
 
シベリア抑留者への鎮魂歌

シベリア抑留者への鎮魂歌

最も苛酷な死を遂げた者たちへのレクイエム

著者:富田 武
 
 
バイリンガルな夢と憂鬱

バイリンガルな夢と憂鬱

日本語の隣人たち

著者:西 成彦
 
胸さわぎの鷗外

胸さわぎの鷗外

満を持しての鷗外論

著者:西 成彦
 
 

このページのトップへ